帰国して・・・
係長格で帰任したのでまずは若い部下、というか後輩が付きました。彼の元上司、先輩曰く、ちょっと不思議君でした。自分自身が一緒に仕事して、というよりも先にインプットされたのですが、
・軽い調べモノの指示をすると一週間以上夢中になって調べている。
・関係部署と調整して、といった指示だと大抵先方を怒らせる。
・マニュアル、手順書がある作業は完璧にこなす。ただ、プラスαはない。
・物覚えは抜群に良い。他人の従業員番号は完璧に覚える。
などなど。総合職なのであまり指示通り仕事をしていれば良いわけではなくて、更に効率よく業務をしてその手法を残したり、関係部署とうまく調整して全体最適を図る、といったことも求められるのですが、そういった資質が他の同年代の人に比べて著しく劣るようです。まぁ、言っても入社4、5年目なので仕方ないかな、と思ってはいたのですが。
アスペルガー症候群って?
で、以前の上司とその同僚が調べてアスペルガー症候群ではないか、とのことで市内の病院にその筋の有名な先生がいる、とのことでそこに通っているそうです。私が帰任した時には彼から
『私、こういうことで今病院に通っているんです』、とアスペルガー症候群について、の本を渡されました。本人からですよ(笑)。私もそこで初めてアスペルガー症候群、という言葉を知りました。ネットで調べてみると結構、有名人、偉人がアスペルガー症候群だ、とあって驚いた記憶があります。
実際、業務を一緒に初めてみると確かに不思議ちゃん・・・。自分も帰任したばかりで日本の業務を完全に覚えているわけじゃないし、赴任している間に色々変わって浦島太郎になっているところが多々あったので彼に聞きながら、確認しながら指示したりするわけですが、どうも要領を得ない・・・。ま、(ある程度聞いていたので)仕方ないし、私も開き直って自分が仕事をするつもりで一つ一つ指示をしました。普通は”1+1”が”2”以上になるのが組織、チーム、コンビのよさですが、彼との仕事だと”1+1”は”1”もしくはよくて”1.3”くらい。自分が係長として本来やらなければならない仕事に手を付けられない状態でした。
というか、結局、病院先生からはアスペルガー症候群の傾向はあるが、個性の範疇である、という診断結果だった、とのことです(笑)。
他の部下、というかメンバーは普通に年齢、年数なりのスキルと行動力、経験だったのでまぁ、普通でした。
その後?
結局1年ほど彼と一緒に仕事をしたわけですが、私自身も帰任してすぐだったから比較的ソフト目な業務を与えられていたので何とかなりました。彼が担当していた仕事で重要な会議があったのですが、資料作り、説明/発表練習を一緒にやったりもしました。普通は資料の方向性を伝えて担当者に作ってもらい、それをレビューしながら作り上げていく、というやり方なのですが・・・。
そんなことを知らない他の人はその会議で彼の評価をあげてしまいました(笑)。
シンガポール赴任
話は変わって、帰任して半年ほどたった頃でしょうか?同期がシンガポールに赴任することになりました。現地で頑張っていたんですが、赴任して3か月ほどたったころ、体調を壊して強制帰任、となりました。以前も時々発症していたのですが(私がアメリカ駐在中に彼が出張してきた時にも発症)、癲癇です。業務中に突然発作みたいになって倒れたそうです。慣れない環境での仕事の過度なプレッシャー、夜も取引先関連との対応等で心身ともに疲労、ストレスが溜まって持病が発症しやすい状況だったのでしょう。
急遽、彼を帰国させる代わりに誰かを赴任させなくてはいけません。そんな時に白羽の矢が立ったのが不幸にも私(笑)。海外赴任経験があって、独身、自宅住まいだったので赴任準備も最小限で済む、そんなところから候補者3名ほどの中からほぼ私指名になってしまいました・・・。
緊急での赴任だったのでビザを取得するために大学へ卒業証明書を取りに行ったり、赴任前研修も受けられず、とにかく海外引っ越しの準備。今回は前回のような結婚云々の話は一切なし(笑)。
とにかく、シンガポールに行ってくれ!と言われてから日本を発つまで実質2週間弱。これは当時、うちの会社での赴任前期間最短記録でしたが、今も破られていないかも?普通は半年ほど前に内示があって引継ぎ、赴任前研修等、どう短く見積もっても3か月は必要ですからね。そんな感じでアスペルガーの彼とは突然これで一旦縁切れ、となりました。
コメント